二十六夜俟・再




二十六夜の月が昇る。

細い下弦の月。
もうすぐ新月となって生まれ変わる。
夏の月。



冬、昇る月に願った。
また、夏の今、こうして願う。

少しでも長く共にありたいと。

人の営みから外れた妖である自分と、人であるだろう養い子、この神域に、大地に、自然に愛された愛し子が願うなら。

いつかここを離れるその時まで。
養い子が願う限り。

「あいつが大人になっても変わらなければ…」

なみなみと酒を満たした盃を上げて。

簀の子に座り、高欄に寄りかかって三蔵は一人、盃を傾けていた。
養い子は小鬼と一緒に、風通しの良い涼しい閨で眠っている。

昼間、生き物の営みを目の当たりにして、何か思うことがあったのだろう。
じっと考えている姿を覚えている。
そうやって考え、知識を身に着け、大人になっていくのだ。

「いつか、あいつが大人になる日まで」

共にある喜びを感じられる日々であるように三蔵は願うのだった。




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