足 指
「…も…ゆ…して…」

全身くまなく接吻けされて、身体が蕩けてしまった気がした悟空の口から無意識に、許しを請う言葉がこぼれ落ちる。
口唇を押し当てて、触れるだけの接吻けに、悟空の肌は桜色に染まり、甘い蜜を零す。

今夜の三蔵は執拗で、容赦がなかった。

身体がぐずぐずに蕩けて、流れているような快感を尚も煽るように、三蔵の手は悟空の全身をなぞるように撫で、這い回る。
そのたびに悟空は身体をひくつかせ、湧き上がる痛いほどの快感に震えた。
手の指を一つずつ口に含まれ、嬲られ、休むことなく悟空の分身に触れる。

「やぁ…も…と、ける…よぉ…」

嫌々と首を振る金瞳から涙が溢れ、朱に染まったまろい頬を伝い落ちる。
快感に染まって波打つ身体に口元を綻ばせながらもその身体を嬲る手を止めない。
シーツを蹴る足を掬い上げ、悟空の足指を口に含んだ。
そして、その一つ一つを舐めあげ、悟空の燃え上がる快感に油を注ぐ。
悟空は華奢な身体を撓らせ、震わせて頂の更に上へ追い上げられて行く。

「…んっ、あ…あ…」

ぴちゃんっと、濡れた音に悟空の身体がひくりと震え、濡れた黄金が開く。
音のした先を視界に捉えた悟空が、怯えたように身体を竦ませた。

「…ッぁ…や、きたな…ぁや…」

足首を持った三蔵の手を振り払おうとする悟空を押さえつけ、浮いた腰に熱く滾った己を突き立てた。

「ひぁっ…!」

悲鳴に似た声を上げて、悟空の身体が一瞬強張る。
構わず三蔵は、そのまま悟空を攻める手をきつくし、尚も腰を突き入れた。
堪らずに上がる嬌声に、三蔵の紫暗が欲望に色濃く染まる。

「あっ…あぁ…ぁん…」

三蔵が叩き付けるように与える快楽に苦痛を感じるのか、悟空の身体は無意識に逃げを打つ。
三蔵はその腰を掴んで、己を奥まで突き立て、攻め立てた。

「ぁあ…んっ…あっぁああ──っ」

痛みを伴う快感が悟空の身体を突き抜け、悟空は上り詰めた。

「ふぁ…ふっ…ぁさ…ぞぉ…」

荒い息を吐きながら見上げてきた金瞳に三蔵は瞳を眇めると、また、動き始めた。

「…もぅ…やぁぁ…」

いつもと違う荒々しい動きに悟空は為す術もなく翻弄され、瞬く間に頂へ登り詰めて行く。
もう、何度目か分からない解放を迎えても、まだ三蔵の腕からは解放されず、悟空が意識を失うまで行為は続いた。

完全に意識を無くし、弛緩した悟空の身体から漸く己を解放した三蔵は、汗と涙に濡れた頬を撫でながら、吐息の声で呟いた。

「…いなくなるんじゃねぇ…ぞ…」




それは、深い秋の、深い夜─────

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