唇
桜唇に触れて、啄んで、また触れて。
しっとりと濡れて、綻んで、赤く色付く。

零れる吐息が甘く、切なくなれば、花開く。

「さんぞ…んっ…」

蜜のような声音が呼べば、深く合わせて、甘い口腔を存分に味わう。
角度を変え、吐息すら漏らさぬように合わせて。

「んっ……ぅ…ふっぅ…ぁん…」

下唇を甘噛みして離せば、銀糸がお互いを繋いで、零れた唾液を掬い取る。

「ぁ…さ…ぞぉ…」
「ああ…」

甘く俺を呼ぶ声は艶を帯びて、金瞳が潤む。
仄かに色付いた肌は、匂い立つ。

俺に向かって、俺を求めるように伸ばされた細い腕(かいな)。
絡めるように握り込めば、お前ははんなりと笑う。

「さんぞ…」

俺を呼ぶ声は一層艶を掃いて、俺を煽る。

「…悟空」

呼べば、見つめる金瞳は嬉しそうに綻んで、桜唇が揺れる。

「…ぅんっ…」

誘う色にまた唇を合わせれば、拙い動きが応える。
それに合わせて、今度はゆっくりと歯列をなぞり、上顎を撫で上げる。
そのたびに合わせた胸が、ひくりと動き、腰が跳ねた。
構わず、口腔を撫で上げる。
俺に触れたお前の手が、俺の肌に爪を立てた。

「ぁうぁん……ふぁ…んっ」

息継ぐたびに、零れる声は嬌声に変わって、合わせた肌が粟立って揺れる。
絡め合い、歯列を、歯茎を、上顎を、唇を撫で上げ、甘く噛み、吸い上げ、吐息まで抱き込めば、お前はいつしか、頂に登り詰めた。
大きく跳ねた身体と、広がる温もりが、俺にそれを伝えてくれた。

軽く触れ合わせたままで、お前の顔を見れば、熱に浮かされた金瞳に俺が映っていた。

ああ…そうだ、お前が誘ったんだな。
その桜色の口唇で。

さあ、続きを始めようか、悟空─────

close