舌
喘ぐ口元に覗く赤い舌先。
ちろちろと、欲望を煽る。

氷菓子を舐めるその舌の動きに、魅入られる。
例えば、唇を舐めるその無意識な仕草に、雄が目覚める。
そう、水を飲むその口元にさえ、熱は容赦なく灯り、身体の芯を焦がす。

幼い仕草とアンバランスな色で艶を掃く。

日毎、夜毎、その色香で三蔵を惑わす。

「…んっ…ぁ…やぁ…」

小さな果実をくすぐる舌先に、白い肌は桜色に染まって、甘い声を零す。
三蔵の舌先が触れるたびに身体を撓らせて、悟空は快感に震えた。

「そ…やぁ…そんな…いで…」

震える手で俺の髪を引っ張り、身体を突っ張らせる。
何度触れても、何度味わっても足りない。

それは、ふとした切っ掛けだったのだと、思い返しても確たる瞬間は思い出せない。
思い当たらない。
身体を重ねるようになるまでは、日常の、ありふれた子供の幼い見慣れた仕草だった。
子供らしい行動であったはず。

そう、何一つ、欲望へと繋がるものは無いはずだったのだ。

それが、今ではどうだ。
見慣れた仕草、行動のどれ一つとっても、艶やかな行為へと誘って見える。
本人にとっては、ごく当たり前の行為だったり、ちょっとした癖だったりするだけだというのに。
まるで箍が外れたように、欲望が溢れてくる。

幼い容も、華奢な身体も、舌足らずな話し方も、声も、何もかもが、あられもない姿を思い起こさせ、蜜のような嬌声を蘇らせる。

「さ…ぞぉ…ぁんんっ…ぁ」

下肢を舐め上げ、自身を嬲る三蔵の舌に、悟空は身体を震わせ、シーツの海で溺れる。
上げる甘やかな声音が、三蔵の熱を煽ることに気付かないまま。

「さんぞ…ふぁ…ん…さ…ぞ…」
「悟空」
「っぁん…や、やぁ…」

纏い付く舌に悟空は上り詰めて行く。
与え続けられる快楽に、我を忘れて。
与えるその人に縋りついて。

零れる声音の隙間、ちろちろと見える赤い舌先に、三蔵は煽られて行く。



お前はどこまで…



思い果てなく、欲望は重なり、三蔵の舌先に、悟空の熱が弾けた。

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