鎖 骨 |
長い野宿生活の果て、漸く辿り着いた町の宿屋。 三蔵達は着いたその日は、汗を流すことも、食事を摂ることも忘れて、柔らかな寝台で貪るように眠った。 その翌朝、誰よりも早くに目が覚めた悟空は、汗と埃に汚れた身体を洗った。 「…サル?」 気怠い身体を起こして隣の寝台を見れば、そこに悟空の姿は無く、視線を浴室の扉へ移したその時、待っていたかのように扉が開いた。 「あ…三蔵、起きた?」 起きた三蔵に悟空は嬉しそうに笑いかけ、冷蔵庫へ向かう。 「おい」 半分ほど飲んだ所で三蔵を振り返る。 「飲む?」 三蔵へボトルを差し出して問えば、その腕ごと引き寄せられた。 「わっ」 驚いて声を上げる悟空の手からボトルを取ると、一気に残りを三蔵は飲み干した。 「美味い?」 飲み干したボトルをサイドテーブルに置いて、三蔵は自分を見上げてくる悟空を見下ろした。 「三蔵も風呂入ったら?気持ちよかったぞ」 まだ濡れた髪からシャンプーの甘い匂いが薫る。 「…さ、さんぞ?」 三蔵の口唇の触れる感触に、悟空が驚いて身を引こうと身体を捩る。 「ひゃぅ…!」 妙な声を上げて、悟空の身体が跳ねた。 「んっ…」 その痛みに悟空は眉根を寄せ、跳ねた身体が今度は、一瞬、強張る。 「さんぞ…?」 戸惑った声音と自分を見返す微かに潤んだ金瞳が、目の前にあった。 「風呂に入ってくる」 立ち上がる三蔵を何か言いたげな視線が追う。 「風呂から上がったら、覚悟しておけ」 そろりと、悟空の耳朶を舐めあげ、三蔵は浴室に入って行った。 |