指と指の間
三蔵の頬に触れた俺の指先を三蔵が口に含む。
何となく恥ずかしくなって目を伏せたら、三蔵の口に含まれた指が、ちくりと痛んだ。

「…んっ」

手を引こうとしたら手首を掴まれた。
恐る恐る瞳をあげれば、欲に染まった紫暗と出逢った。

「さんぞ…」

離して欲しいと、身を捩って訴えたけれど、三蔵は掴んだ手を離してくれなくて、空いた方の手で俺の身体を撫で上げた。

「…んっ…やぁ…」

思わず上がった自分の甘ったるい声に、頬が熱くなる。
と、指が離された気配にさっき瞑った目を開けば、三蔵の赤い舌が、ちろちろと俺の指と指の間を這っていた。

「それ…やぁ…んっ、ぁ…」

身体を重ねる度に、三蔵は俺の身体の色々な所に、唇で触れたり、手で触れたり、舌で触れたりする。
どれもくすぐったくて、気持ちよくて、すぐに気持ちが溶けてしまう。
でも、指と指の間をこうして触れてくるのは、嫌だ。

「さんぞ…やめ…ふぁっ…ぅん」

指の間に舌が触れるたびに背中がゾクゾクと粟立って、身体の奥に熱が灯る気がするから。
何より、俺の指を含んでいる三蔵の姿を見ると、目のやり場に困ってしまう。

いつもよりずっと艶めかしく感じて────

「お前は何処も敏感だな」

そんなことを言って笑うから。

「ちが…さん…が…んっ…っあ…」

三蔵の手が頭をもたげ始めた俺自身に触れて、緩く撫でる。
その感触に、俺の身体は意志とは無関係に跳ねる。

「さんぞ…さんぞ…」

腕を伸ばして三蔵の首に縋りつけば、三蔵は俺を宥めるように緩く抱き締め返してくれた。

「悟空」

呼ばれて、縋りついた身体を離せば、目の前に三蔵の少し節の浮いた綺麗な指が差し出された。

「…うん…」

俺は小さく頷いて、三蔵の指をくわえた。
そして、舌を絡め始めると、三蔵の指も俺の口腔を好き勝手に動き始める。
片方の手は変わらずに、俺自身を嬲っていて。

「ぅ…ふぅ、ん…ぁん…」

鼻にかかった甘い声が俺の口から漏れだしたら、それが合図。
三蔵と一つになるための準備が一つ終わったという合図。

「さんぞ…ぉ…」

三蔵の指と俺の唇が銀の糸繋がって。
それはまるで俺を絡め取った蜘蛛の糸に見えた。

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