肋 骨
後ろから華奢な背中を唇で辿る。
背骨の浮いた痩せた背中。

「お前、痩せたか?」
「…ぇ…ぁん…」

前に廻した手で胸の飾りを嬲れば、悟空の身体が跳ねる。

「こっち向け」

応えがないのに俺は繋がったまま、悟空の身体をひっくり返した。

「ぅあ…ぃぁん…」
「…バカ」

妙な声を上げて悟空が仰け反り、それに伴った急な締め付けに、俺は思わず悪態を吐いた。
覆い被さって悟空の顔を見れば、潤んだ瞳で睨んでいる。

「…痛かっ…た…」

唇を尖らして、悟空は掠れた声で呟いた。
俺は、その唇に口付けを落としてから、ゆっくり身体を起こした。
悟空は俺が動くたびに快感が走るのか、小さく身体を震わせている。

「さ、んぞ…」
「お前、痩せたな…」
「え…ぁん…」

俺の言葉に悟空がに身じろぎ、声が上がる。

「あんなに食ってるのに、燃費の悪い…」
「そ、そう…ぁあん…お、れ…ちゃんと…ふぁ…」
「これ以上痩せたら抱き心地が悪くなる」
「…そ、そ…な…あ、ぁぁあん…」

指先で骨の浮いた脇腹を辿る。
そして、浮き上がった肋骨の一つ一つに口唇を這わしてゆく。

旅を始めてからも何度も悟空を抱いた。
だが、行程が厳しく、刺客達の襲撃に追われ、野宿が続けば、疲れも堪り、精神的な疲労も重い。
それがいつの間にかただでさえ華奢な悟空の身体を細らせていることに何だかやるせなかった。
寺院に置いてくればこんな風な痩せ方はしないだろうに。
手放せないくせに、そんなことを思う。

「…ん、ぞ…ぉ…」

足りないと、舌足らずな声が俺を煽る。
俺は、辿る肋骨に紅い華を咲かせてから、悟空の足を抱え上げた。

「動くぞ」
「んっ…」

ゆっくりと、腰を入れ、高みへ登るために俺は動き出した。

「…ぅんっ…あ…やぁ…やん…」

俺が与える熱に悟空は上り詰めて行く。
俺も撓る悟空の身体に、吐息に、あげる嬌声に煽られ、翻弄されて、頂へ登る。

「ぁ…っん…も、もう…ッダメぇ…」
「…ッ悟空」

一際、身体を撓らせて、俺たちは上り詰めた。
荒い息を吐いて、悟空の上に倒れ込む。

「…んぞ…」
「ぁあ?」

収まらない呼吸の下から悟空が呼んだ。
顔を向けてやれば、

「…俺、そんなに…痩、せた?」

と、訊いてきた。
快感に晒されて覚えていないのかと思ったら、ちゃんと覚えていたらしい。

「まあな…寺にいる時よりはな」
「何で、わかったの?」
「これだよ」

ついっと、上下する胸の浮き出た肋骨を撫でれば、ぴくんと悟空の身体が跳ねた。

「…ッ…ぁん…」

漏れた声に悟空の顔に朱が登る。

「足りないか?」
「バ、バカ…三蔵が触るから…」
「俺は足りない」
「へっ…?」

ぽかんと見返してきた悟空の顔に接吻を落とし、俺はまた、臨戦態勢に入った。
痩せて、軽い華奢な身体を攻めるために。

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