それは、淡い光。
淡くて、それでも強い光。
新年を迎えられた感謝を光に向ける。




ぼくらを照らす明日。




絶対三蔵なら、断るだろうと思っていた。
寒いから、とか、面倒だ、とか。
でも、意外にもオッケーしてもらえて。
悟空はその日を指折り数えて待っていた。






はつひので、というものを知った。
登りゆく朝陽なら何度も眺めたことがある。
でも、新しい年の始まりという日に見るのは格別だと、誰かに聞いた。
誰に聞いたのかはわからなくて。
ただ、三蔵と眺めたいと強く願った。
だから、きっと、通じたのかもしれない。














「…さむ…」
「…だから、ちゃんと着て来いといったんだ」

三蔵と出歩けるのが嬉しくて、だからあの時は失念していた。
冬の夜明けは寒いこと。
三蔵といられるだけで、とっても嬉しくて、うきうきしてて、ほかほかしてた。


それは、心が。
躰もつられて。



座り込んで、空を見上げる。
静寂の黒。
いや、青かな。
三蔵には負けちゃうけど、それでもなんだか綺麗で。
ぶるぶる震えていたら、三蔵の手がふわりと触れた。

「…こうしたら、寒くねえだろ」
「…///ありがと…」

包んでくれた三蔵の手のひらはあったかい。
どきどきが高まって破裂しそうで。





静寂の黒が、一気に熱と光を帯び始める。
地平線から顔を出し始めた朝陽は最初淡い光を放ち、やがて、強い光に変わりだす。
その光はとても強い意志を持って、あたりを照らし出す。


「…きれー…」

こつん、と三蔵の肩にもたれる。

「…そうだな」

だんだんと光は強くなり、あたり一面を明るくさせる。



「…さんぞ」
「…」
「…さんぞみたい…」
「…あ?」
「…俺を照らしてくれるさんぞみたいだね…」








それは、強い光。
暖かくて、とてもとても、強い。




















光に祈る。
明日も照らしてくれますように。
僕らに光を与えてくれますように。






(03.01.04.)




 

<映月 様 作>

映月さまのサイト「☆FROZEN☆STAR☆」の年賀企画のお話です。
私が押しつけた年賀状のお礼にとURLを送って下さいました。
お持ち帰りフリーと在りましたので、すかさず頂いてきました。
年末から新年にかけて、初日の出を見に行く三蔵と悟空。
夜明け前の冷え込む一瞬、寄り添う甘い二人と、僥倖に染まる空の美しいこと。
こんな初日の出なら、私も見たいと思いました。
映月さま、素敵なお話をありがとうございました。
私は本当に果報者です。

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