2008年 クリスマス・リレー
(witten by michiko) 更衣室で途方に暮れる子羊一匹。 高額のバイト代に吊られて、友達に拝み倒されて引き受けたけれど…。 こんな格好でウエイターは無いだろう。 今日はクリスマスイブで、特別な日のサービスとサンタクロースのコスプレでのアルバイトだと聞いたのに。。 赤いミニのワンピース。
でも、引き受けたからには逃げ出すのも嫌で。 大好きなあの人に何かプレゼントがしたいから丁度いいって引き受けたあの時の自分を殴ってやりたい。 途方に暮れた子羊が一匹。
意を決して踏み出した先には……。
(written & illusted by みつまめ様) ――これでもか!! 最初の戸惑いなんか、気にしている暇もないほど殺気立ったホール内に腰が引ける。
そうだ、コレは戦闘服だと思えば良いんだ!! なけなしの根性を振り絞って客をさばき続ければ、9時を過ぎた辺りで漸く客足が収まってきた。 慣れないヒールのあるブーツのお陰で、足が疲れてパンパンだ。
後、店が終わるまで約3時間。 ココ暫く見ていない三蔵の笑顔を思い浮かべて、シャッキリと背を伸ばすと――再び店の扉を開けた。
「!?」 お互いが一瞬、息を呑んで固まる。 「さ、さんぞ…ど、したの? その…頭、てか…カチューシャ?」 いやあの、ソレはなんとなく分るけどさ!! どおりでお客さんが注目していた訳だよ!! 「八戒が、さっきこの店の前を通りがかった時に、サンタのカッコで働いているお前を見た――と、残業をしていた俺に知らせに来たんだ」 三蔵の同僚で、あの真面目そうな人にまで、こんな恥ずかしい姿を〜〜!! ――とはいえ、今は三蔵にもバッチリ見られている訳だけど。 三蔵が付けているトナカイのインパクトの方が大きかったせいで、…恥ずかしい気持ちが相殺されて普通に会話できている。 「それで、確めに店まで来ようとしたら――八戒に被せられた」 ある意味、女の人が寄ってこない効果があるから、嬉しい…かも? そこで、灰皿で煙草を揉み消した三蔵が、溜息をひとつ吐いた。 「どうせ、上手い話に騙されてそんなカッコしてるんだろう?」 何もかも見透かすような紫暗の瞳に見つめられて、決まり悪くて眼を伏せた。 悲しくなって、黙り込んでいると―― 「…で、何時で上がりだ?」 思いがけない言葉が掛けられた。 「え? ま…待っててくれる、の?」 カチューシャを付けられた時点で、腹を立てて帰っていても可笑しくはなかった三蔵がココに居る理由…? 「“サンタを攫って行っても良いのは、トナカイだけなんですよ”――だと」 男の癖に、気持ち悪いカッコしてるからジロジロ見ているだけだよ〜。 「本当に眼が離せねぇな…」 と、小さく呟いて。 「待っててやるから、早く仕事を終わらせて来い」 と、笑ってくれた。 それは、トナカイの角をつけたままでも充分にカッコ良くて。
そうして、その夜。 途方に暮れていた子羊…もとい。
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<みつまめ様&michiko リレー合作>
「みつまめBOX」のみつまめ様の可愛いサンタコスチュームの悟空のイラストに萌えて、
小話を書かせて頂いたら、こんな素敵で可愛い続きを書いて下さいました。
その上、元になった可愛い悟空のイラストまで戴いてしまいました。
そして、クリスマスには、みつまめ様の所で飾って頂いてv
何でも書いてみるもんですね。
幸せな事が待っていますからv
持って帰られた可愛いサンタがどうなったのか、
甘い想像と邪な妄想が脳内で花開いたのは言うまでもありません(笑)
みつまめ様、本当にありがとうございました。