スカート |
ひらひらと舞う綺麗な布。 少女が、くるっと廻るとふわりと広がる。 綺麗な色と綺麗な模様。 ふわり、ひらひら廻って広がる。 宿を取った街の祭りの夜。 花が踊る。 「悟空、ココアは如何ですか?」 八戒の差し出すマグカップを受け取りながら、悟空の視線は祭りの踊りから離れない。 「好きだねぇ、小猿ちゃんは」 三蔵は街に入ってすぐの所に建つ寺院に、呼ばれて出掛けていた。 開け放った窓から流れてくる祭りの声は賑やかで、悟空を誘っている。 「なあ、見に行ってもいいかな?」 振り返って二人に問えば、お互いの顔を見合わせて、すぐに返事が返ってきた。 「いいですね」
間近で見る踊りは本当に夢のようで、悟空はその金眼を閃かせて見つめていた。 「嬢ちゃん、アンタもこれに着替えて踊ってお出で」 きょとんとする悟空の手に綺麗な衣装を渡し、腕を取ると、その人は宿の女将に声を掛ける。 「女将、この嬢ちゃんも混ぜてやってくれよ」 悟空が言い訳をする前に、悟空の身体は衣装と共に女将の手へ渡された。 「お、俺、男だってば」 やっと、話が出来た時には、衣装が纏われていて。 「そこいらの娘ッ子より似合うよ」 顔を赤くして叫んでいる所へ、聞き慣れた声が聞こえた。 「何やってんだ?」 振り返ればそこには三蔵が立っていて、悟空の顔は瞬時に紅に染まる。 白いミニ丈のボーンネックのブラウスに、様々な黄色い色の花が刺繍された幾重にも生地を重ねたシフォンのスカート。 三蔵は軽く瞳を眇めた後、部屋に駆け戻った悟空の後を追った。
部屋へ戻ってみれば、窓際のベットがこんもりと盛り上がり、掛布の隙間からスカートの裾が見えていた。 「おい、悟空」 ため息混じりに名前を呼べば、ベットの盛り上がりが、小さく震えた。 窓から聞こえる祭りの賑わいは、最高の盛り上がりを伝えてくる。 煙草二本分、待った後、何の反応もないベットの盛り上がりを包む掛布を思いっきり引きはがした。 「…やっ!」 咄嗟のことに顔を隠せない悟空。 「…やだっ…離しっ……」 腕を突っぱねて、身体を離そうとする悟空の後頭部を捕まえて、三蔵は唇を重ねた。 「…ぅう…んっ……ぁ…」 甘い吐息が零れてようやく、悟空を解放する。 「…綺麗だったんだ…夢みたいで……」 きゅっと三蔵の背中に回した手が、法衣を掴む。 「…さんぞのスケベ」 と、くぐもった声が聞こえた。 |