オムライス (parallel) |
今朝、三蔵と喧嘩した。 今日のは、三蔵が悪い。 絶対、俺から謝ってなんかやらない。 だから仲直りもせずに、家を出てきた。 お陰で一日、腹が立ったまんまで。 駅について、定期を忘れたことに気が付いた。 お陰で遅刻。 授業で指名されて、したくもない手伝いに狩り出されることになった。 なんで東洋史と花壇の手入れが関係あるんだ? 昼休み、ゼミの教授に呼ばれて研究室へ行けば、ここでも資料の整理を手伝わされた上に、先週出したレポートの書き直しを言われた。 あ、これ書いてる時、三蔵がちょっかい出して集中できなかったヤツだ。 今日はバイトが入っていた。 いつも通りの時間にお店に行ったら、臨時休業。 「…どうしたんだろ?」 首を傾げながら手紙を読めば、八戒のお姉さんが急に陣痛が始まったとかで、病院に付き添いで行くからって。 どうしよう… さっき、気が付いたんだ。 三蔵は仕事に出てるから当然、鍵がかかっていて。 ああ、もう!
図書館で書き直しのレポートの下書きして、閉館まで粘った。 本当に今日は、散々。 コンビニでコーラとお菓子を買って、公園かどっかで時間潰さなくちゃって思ってマンションを覗きに戻ったら部屋に電気がついてた。 「…帰ってんじゃん」 でも、開けて貰うのが何か悔しくて。 腹は減ったし、八戒のお姉さんのことも気になるし、レポートは早く書き直さなくちゃいけないし・・・・。 「三蔵のバカ…」 そう呟いて上を見上げたら、三蔵が居た。 「……あ」 驚く俺と三蔵。 「おい、そこに居ろよ」 聞き返す前に、三蔵の姿がベランダから消えた。 何だ? 訳が分からなくて、ぼけっとしてたら、玄関のドアが開いて、三蔵が出てきた。 「今朝は、悪かった」 って。 「…機嫌直せ。お前の好きなオムライス、作ったから…帰って来い」 って。 こんな三蔵見たら俺、頷くしかない。 「悟空?」 返事をしない俺を訝しんで見つめてくるから。 三蔵、大好きだよ。 |