釣りをする人 |
「…えっと…缶詰が三箱…これは夕方に宿におっちゃんが届けてくれる」 三蔵が頷けば、悟空は買ったモノをひとつづつ思い出しながら三蔵と確認を続けた。 「次が、米と小麦粉…醤油、みそ、砂糖に塩」 三蔵の言葉に、悟空は思い出したように頷いた。 「何が釣れるのかな?」 隣を歩く三蔵を伺えば、 「フナかコイでも釣れるんじゃねえか」 と、気のない返事が返ってきた。 「ふうん」 それに悟空も気のない返事を返して、また、買ったモノを確認すべく、品物の名前を上げ始めた。 「ジャガイモとサツマイモ、ニンジン、それからぁ…」 嬉しそうに笑えば、三蔵が呆れた笑いを零す。 「お前のおやつはいらねえ」 三蔵の言葉に膨れれば、 「荷物になる」 と、当然だと言わんばかりの答えが瞬時に返される。 「じゃあ、食料食い尽くしてもいいんだ」 にっと、笑って伺うように言葉を返すと、三蔵は眉間に皺を寄せて暫く考えたのち、大きなため息と一緒に 「……わかった」 と、笑った。 「やりぃ」 勝ったと楽しげに笑う悟空に、三蔵は続きを促す。 「で?」 山のような荷物を一端、地面に置いて、悟空は八戒から渡された買い物リストを広げた。 「…ぇっと…あ、そうそう、包帯、ガーゼ、消毒薬に傷薬と絆創膏。それと風邪薬と解熱剤」 リストの最後の方を読み上げる。 「洗剤に石鹸、歯磨き粉と歯ブラシ……最後に…」 三蔵が顔を顰めていることに気付かず、悟空はリストの最後に書かれた品物の名前を読み上げかけたまま固まった。 「ちゃんと買ったから読むな」 頷く顔は項まで赤く染まっていた。 「行くぞ」 と、声をかけ、歩き出した。 |