俺の一日? 朝起きるのは、七時頃。
遅いときは昼前まで寝てる。
でも、三蔵と朝ご飯食べたいから、出来るだけ早起きしてるけど、なかなか起きられなくて悔しい。
起きたら顔洗って、着替えて朝ご飯。
朝ご飯は、お粥と漬け物とお汁。
あと、卵焼きやサラダやんと・・・ウィンナーとかもある。
笙玄がご飯を作ってくれる。
たくさんで、とってもおいしい。
俺、一人でご飯食べんの嫌いだから、いっつも誰かと食べてる。
三蔵と食べられないときは、笙玄と食べる。
でも遅く起きすぎると、一人で食べなくちゃいけない。
そんなときは、窓を開けて、鳥達と食べる。
俺がそんなことしてるの三蔵も笙玄も知らない。
うん、内緒なんだ。
だって、三蔵は俺が、大地のみんなと話したり、遊んだりするのをあんまりいい顔をしない。
みんな、前ほど還って来いって言わないけど、三蔵は俺を大地に取られるって思ってるんだ。
俺、三蔵の側を離れたりしないし、還ったりしない。
三蔵は俺のこと信じてくれてねえのか、時々不安になる。
だから、内緒。
でも、三蔵と一緒に寝た次の日は、寝台で朝ご飯を三蔵と食べる。
その日だけは、三蔵がご飯を運んでくれて、すんげぇ優しい。
だって、俺、三蔵のせいで動けなくなったんだから、甘えていいんだって。
けど三蔵はご飯食べたら、仕事に行っちゃうからつまんないけど、その後、そのまま三蔵の寝台で寝たいだけ寝かせてもらえるから幸せ。
朝、一緒にご飯食べないときは、俺のご飯がすんだら、三蔵におはようを言いに行く。
挨拶は、生活の基本なんだって、三蔵が言ってた。
俺、妖怪で、異端の存在だからここでは、嫌われてる。
でも、たまに降りる街では誰も俺のこと嫌ったり、変なこと言ったりしない。
だけど、挨拶っていうのはしないといけないんだって。
初めて会ったら、初めまして、こんにちは。
知ってる人に会ったら、朝ならおはよう。
昼ならこんにちは。
夕方や夜はこんばんは。
寝るときは、お休みなさい。
ご飯食べる前は、いただきます。
ご飯食べた後は、ごちそうさま。
ものをもらったり、親切にされたら、ありがとうで、悪いことしたら、ごめんなさい。
そうすることで、みんなと仲良くなれる呪文みたいなものなんだって。
だから、俺、ちゃんと挨拶するんだ。
三蔵は、おはよって言うとちゃんと返事してくれる。
そしたら、遊びに行く。
えっと、寺院の裏山に行くんだ。
街にも行くけど、大抵は山か野原。
そこで、野原のみんなや山のみんなと遊ぶ。
木に登ったり、川で泳いだり、みんなで鬼ごっこ、相撲にかくれんぼ。
あっという間にお昼になるんだ。
お日様が真上に来たら、お昼ご飯。
笙玄が、着替と昼ご飯と一緒に待ってるんだ。
笙玄は、優しい。
三蔵が一番優しいけど、その次に優しい。
寺の連中は俺のことを汚らわしいとか三蔵の側に置いとけないとか、煩いけど、笙玄はそんなこと言わない。
いっつもにこにこしてて、俺のこと可愛がってくれる。
けど、三蔵にしちゃいけないって言われてることや笙玄にダメって言われてることを俺がやっちゃったら、すんげぇ怒る。
どれぐらい怖いって、あの三蔵が思わず止めたぐらいにだぜ。
どんくらい怖いかわかんだろ。
でも、怒られても俺は笙玄が好き。
昼ご飯は、三蔵が忙しいから笙玄と一緒に食べる。
食べたら、また遊びに行く。
夕方まで、いっぱい遊んで、三蔵にその日のことを話すんだ。
仕事が忙しいから、いつ話すんだって?
三蔵は、晩ご飯をいつも必ず一緒に食べてくれるんだ。
めちゃめちゃ仕事が忙しいとき以外は、必ず。
話すのは俺ばっかだけど、ちゃんと三蔵は聞いててくれて、相づちやつっこみがたまにはいる。
笙玄も楽しそうに話を聞いてくれるから、すんげぇ嬉しい。
え、雨の日はどうしてるかって?
三蔵の側にいる。
雨が降ってると三蔵は機嫌が悪い。
いつも不機嫌な顔してるけど、雨の日はホントにイライラしてて、どっか変。
そんな三蔵を見てると胸がぎゅってするから、側に居るんだ。
でも、仕事部屋だからおとなしくしてる。
側にいる、もうそれだけで俺は気持ちが落ち着くんだ。
三蔵も俺が側にいると安心してくれてるといいな。
三蔵ってどんな人って?
どんな奴ってこと?
ん・・・・誰より大事な人。
きらきら光って、まるで太陽みたいに眩しい人。
俺をあの暗い岩牢から出してくれて、俺に色んなものをくれた。
いつも不機嫌ですぐ怒って、銃ぶっ放したり、ハリセンで殴るけど、ホントは誰よりも優しい、気持ちの、ううん、魂の綺麗な人なんだ。
だから、あんなに綺麗なんだよ。
俺は、三蔵の側に居たい。
あの眩しい人の側にずっと居たい。
この世の中のことを知れば知るほどに、どれだけ三蔵が俺の側に居てくれることがすごいことか解るんだ。
だから、どんなときも三蔵の側に居たいし、居るんだ。
三蔵が俺のこといらないって言っても、きっと側に居る。
でも三蔵にいらないって言われたら、俺、きっとどうにかなっちゃうかもね。
ぜってーそんなこと無いって信じてるから大丈夫だけど。
三蔵が居ないときどうしてるって?
近くて一日で帰って来るときは、寺院で笙玄と留守番してる。
説法や寺院のお祭りの時は、部屋に閉じこめられて、外に出してもらえない。
そう言うときは、笙玄も忙しいから一人で部屋にじっとしてる。
つまんないけど、うろうろすると三蔵に迷惑がかかるから、我慢するんだ。
三仏神の命令で遠出の時は、三蔵の気が向いたら連れてってもらえる。
でも滅多にない。
だから、前は笙玄と二人で待ってた。
でも、寺院の連中は三蔵がいないと笙玄をどっかに連れってて、会わしてくれなくなるから、結局一人で待ってる。
今は、こないだ知り合った悟浄と八戒の家へ泊まりがけで遊びに行って、三蔵が帰って来るのを待ってることが多い。
だから、三蔵がいなくて寂しくても、胸がぎゅってなることはましになった。
でも寂しいのは無くならない。
三蔵が帰ってくるまで、三蔵の顔を見るまでは無くならないけど、八戒や悟浄と居ると楽しいから我慢できるんだ。
笙玄ってどんな奴って?
さっきも言ったけど、優しくて、怒ると怖いんだって。
あの三蔵だってなかなか逆らうのに根性がいるって、ため息ついてた。
笙玄は、綺麗好きだよ。
いっつも掃除して、洗濯して、お布団干してくれて、何より料理がおいしい。
俺のためにたくさん作ってくれる。
ホントは、精進料理でないといけないのに俺が育ち盛りだからって、肉や魚の料理を作ってくれるんだ。
たまにすっごい暇なときに、お菓子も作ってくれる。
三蔵は、一応坊主だから、精進料理を食ってるけど、酒のつまみも俺のおかずも食う。
気が向いたら街に食べに連れってくれるけど、そん時は俺の頼んだ料理を横から取って食べてる。
でも、これは笙玄には内緒。
晩ご飯がすんで、寝るまで何してるかって?
風呂に入って、居間でごろごろしたり、本読んだりして、眠くなったら寝台に入って寝る。
三蔵は、風呂入った後、ビール呑みながら、新聞読んでる。
三蔵は俺より先に寝ることもないし、俺より後に起きることもない。
だから、三蔵の寝顔なんてほとんど見たこと無い。
寺院に来てすぐの時は、よく夜中に目が覚めた。
起きたら全部夢で、三蔵は俺が作り出した幻なんじゃないかって、そう思ったら怖くて寝られなくなった。
そんなとき、いつも不思議なんだけど三蔵が、俺の部屋に来て、
「うるせぇ」
って、怒るんだけど、俺の寝台で朝まで一緒に寝てくれた。
声が・・・聴こえるんだって。
俺、誰も呼んでねえのに、俺が三蔵に側に居て欲しいって思ってると、必ず、側に来てくれる。
そんな時は、声が聴こえるんだって。
不思議だね。
でも三蔵とどっかで繋がってると思えるから、俺は嬉しい。
三蔵は、
「迷惑だ」
って、怒るだろうけどさ。
ねえ、もういい?
俺、腹減ってきたから、もう、行っていい?
笙玄が、ご飯作って待ってるし、それに今日は三蔵が、一緒に昼ご飯食べてくれるんだ。
だから、遅れると三蔵怒っちゃうからさ。
え、三蔵中心だって?
決まってるじゃん。
だって、俺、三蔵のこと大好きなんだから!
end
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