寂しさと悲しみ




寂しさに誘われて孤独と共に
果てない長夜にぐるぐる回って
何も聞えず 何もできず 
涙も枯らしてしまうなんて
夜を飾ることさえできなかった
ただ唯一の灯りを待ち続けている

暗い闇に光が少しずつ見え
夜明けの明星が照りあがって
太陽ようなやさしさが囲われる気がした
もう何も届かれぬ手を伸ばす
暖かく大きな手を握り締めると
長闇の幕が粉々に砕け散った


悲しさに招かれて罪とともに
底なし修羅の海で乗り越えて
何も見えず 何も感じれず
血も凍えてしまうなんて
心を癒すことさえできなかった
ただ無双の輝きをさがし続けている

寒空に温風が少しずつ吹かし
水温む春の息吹が近づけて
陽炎ような温もりが恵まれる気がした
もう何も入れぬ手を伸ばす
柔らかく小さい手を握り締めると
氷結の心が順々に溶かされていった







<Pauline Cheung 様 作>

初めてお逢いしたその記念に戴きました。
この詩を読んで最初に浮かんだのが、岩牢で冷たい夜を見つめる悟空の姿と荒んだ気持ちで夜空を睨む三蔵の姿でした。
そして、まだ出逢わない二人が、無意識にお互いを探しているように思いました。
いつか出逢えば、冷たい気持ちも荒んだ心もそして孤独もお互いの温もりが溶かしてしまうのだろうと。
本当に素敵な詩をありがとうございました。
幸せです。

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