不機嫌 |
眉間の皺。 顰められた眉。 硬く引き結ばれた唇。 きりきりと棘刺す雰囲気。 執務室での三蔵の様子。 別に仕事が嫌でそんな顔をしている訳じゃないんだって、三蔵はそう言っていた。 何で? 訊いたら、下らない仕事まで持ってくるから、だって。 下らない仕事? 解らなくて首を傾げたら、誰にでも出来る仕事で、三蔵がしなければならない仕事じゃないこと、なんだそうだ。 笙玄が悪いの? って、言ったら、 あいつは悪くない。 そう言った。 笙玄は一生懸命、三蔵が嫌がる仕事を持ってこないように頑張ってるんだって。 だから、不機嫌にな顔して仕事をしているんだって。
え、でも三蔵はいつでも不機嫌だって?
違うよ。 笑ったり、呆れたり、気が抜けた顔だってするんだ。 三蔵はね、感情表現が苦手なんだって、笙玄が言ってた。 機嫌の悪い時は勿論だけど、恥ずかしかったり、照れくさくても不機嫌な顔になるんだ。 あ、でも、これは内緒。
三蔵のことが本当に大好きって?
呆れるほどだって?
いいじゃん。 それに、三蔵の気持ちを知るほどに、三蔵が大好きになってくる。 不機嫌な顔をして、気持ちを隠しても、底なしに優しい三蔵だから。 |