甘い言葉
「悟空…」

甘い声で呼ばれると、逆らえない。
甘い言葉をくれるわけでもないのに、囁く声が甘いだけなのに。

「…さんぞ、好き…ぃ」

三蔵がくれる熱に背中が撓って、気持ちよくって。

「悟空」

ほら、また甘い声で名前を呼ぶ。
好きだとか、愛してるだとか、偶に欲しいなあって思うけど、こんな甘い声で言われたら、俺、きっと逃げ出す。

「…あ、ゃっ…」

身体に触れる指先が優しくて、辿る唇が熱くて。
その上、そんなこと言われたら、俺、きっと変になる。

「さ、んぞぉ…」

伸ばす手を柔らかく包まれて、三蔵が笑う。
反則。
そんな顔見たら俺、溶けちゃうよ。

「っく…ふぁ…」

三蔵の甘い唇が俺に触れて、薄紅の花を咲かせる。
いっぱい咲くと気持ちいい。
でも、消えるまで恥ずかしいって、知ってる?

「…悟空、いいか?」

ちょっと、余裕のなくなった声で三蔵が俺を覗き込んでくる。
俺が頷くと、小さく頷いて、三蔵の熱が俺の中に入ってくる。

「ご、くう…」

ゆっくり、俺が辛くないように、気持ち良いように。
甘い吐息と唇で誘ってくれる。
導いてくれる。

「ぁあ…さんぞ…」

俺はもう、三蔵の名前しか呼べなくなって。
何もかもが白く光って───




「今日のさんぞ、優しい…」

さらさらのシーツにくるまって俺が笑えば、三蔵の顔が少しだけ桜色に染まった。
そして・・・。

引き寄せられて耳元で告げられた言葉に、俺は溶けちゃった。

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