熱 
三蔵が触れるとそこが熱くなる。
まるで火傷をしたみたいに。

「…やっ」

身を捩って逃げてもすぐに捕まってしまう。

「さんぞ、やだぁ…」

掴まれた手を振りほどこうとしても、ほどけなくて。
きつく三蔵が掴んでる訳でもないのに、掴まれた手はほどけない。

「ぅん…ぁ…」

三蔵が触れると熱くなって、熱を持ってくる俺の身体。
三蔵の手が、唇が触れるたびに、俺の身体は俺の意志とは無関係に熱を持つ。

「……っぁ…んっ…」

腰の辺りがむずむずして、熱が集まってる気がして。
甘ったるい声が俺の口から出る。

「…はな…して…さん、ぞ…ぅあぁ…」

目の前にあった三蔵の金糸を引っ張って身体を離そうとしたら、胸の飾りを噛まれた。
途端、身体が跳ねてまた熱が上がる。

「…ゃあ…んっあ…」

身体の線をなぞるように三蔵の手が触れて、下へ。
やわやわと触れられて、俺の身体は燃えてるみたいに熱が上がってゆく。
それに口から出る甘い声も止まらなくて、三蔵の名前を呼ぶことしかできない。

「さ、んぞ…三蔵…さんぞ…ぉ…」

濡れた音が聞こえて、身体の奥に違和感が灯る。
でも、それも俺の中に灯った熱を煽るばかりで、苦しくなる。

「…ぁあ…ぅん…やぁ…」

奥深い所からざわざわと這い上がってくる怖い感覚に、俺は三蔵にしがみついた。
そうしたら、

「一度達っとけ」

そう言う三蔵の声が聞こえたと思った途端、熱が溢れた。

「うぁ…やぁあぁぁ…っ!」

溢れた熱が何もかも押し流して、俺は仰け反った。
でも、俺を包む温かな腕が、俺を受け止めてくれた。

「…ぁっ…さ、んぞ…ぉ…」

上手く息が出来ないまま、そっと目を開ければ、優しくて熱を持った三蔵の紫暗が見詰めていた。
それに俺が安心して笑いかければ、唇に三蔵が触れてきた。
また、熱が灯る。
とろんとなった俺を抱き直して、三蔵が訊いてきた。

「悟空…いいか?」

言われて、俺は灯って燃えだした熱に震えながら頷いた。

「うん…」

熱い三蔵の熱を持った三蔵自身が俺を貫く。
俺の奥へ熱を煽って、燃え立たせて、俺は身も世もなくなってしまう。

「っ…ぁあ…さんぞ、さん、ぞぉお…」
「悟空…」

縋りつく俺の耳元で熱い吐息と一緒に名前を呼ばれれば、もう熱で一杯に膨らんだ俺は破裂する。
三蔵に縋りついて、甘い声を放ちながら、溜まった熱で弾けて、上り詰める。

「ゃぁ…だ、めぇ…ぁ……ぁあ…あぅ───ぁあっ!」

目の前に星が散って、バラバラになる。
でも、まだ三蔵が触れているから、熱は溢れて、また俺を高みに追い詰める。

「…も…ぁやぁ…──っ」

三蔵が触れるとそこが熱くなる。
まるで冷めない熱がまた、燃え上がる。

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