唇 |
触れたところから熱が生まれていく。 掠めるように触れたり、啄むように触れたり、三蔵の唇は意地悪だ。 しっとりと、悟空を包み込むように触れてくる。 こんな時だけ、雄弁で、意地悪で甘い。 唇を重ね合わせる瞬間、微かに綻ぶとか。 いつもは気難しそうに引き結ばれていて、綻ぶことなんてないって姿なのに。 なのに、こんな時は酷く熱くて、触れた場所が熱を持って焼け付くみたいだ。 「…ん…ゃあ…」 上がる声にほら、綻んで、嬉しそうで、翻弄される。 「…悟空」 紡ぎ出される悟空の名前まで、熱を孕んで耳に届く。 「ぁ…あぁ…ん……」 こぼれる吐息を掬い取られて、白くなる。 触れたところから融け出してゆく。 悟空だけが知る三蔵の本当。 |