出会い |
あの日、岩牢から見る世界はいつもと同じだったはずなのに、何故か胸がどきどきした。 格子越しに見える空はいつになく青くて、高くて、とても綺麗だった。 風も何だか柔らかくて、優しかった。 太陽は眩しくて、でもとても温かかった。 本当にいつもと変わらないのに、どこかいつもと違っていた。 それは何かが変わる予感だったんだと、今になって思う。 そうして、出逢った三蔵は、太陽の光にキラキラしてて、眩しくて、とても綺麗だった。 握った手は温かくて、柔らかった。 あの時、三蔵は、俺が何時も呼んでいる聲が、いい加減煩かったから一発殴りに来たんだって言っていた。 呼んでいないはず…。 確かに、岩牢で誰かを待って、呼んでいた気もするけれど、何にも覚えていない。 三蔵もそんなことを言っていたから、きっとそうなんだろう。 でも、今は、三蔵と一緒にいる。 三蔵がくれた世界を知るのが一番。 今日も気持ちいいくらい晴れて、綺麗だ。 「なあ、散歩に行こう?」 珍しく簡単に頷いてくれたから、 「てめえのおやつが済んだら呼びに来い」 って、約束してくれたから。 |