デート
今日はいつもより早く目が覚めた。
だって、三蔵と出掛けるんだ。
本当に久しぶりで。

三蔵は今月は本当に忙しくて、顔を合わせたのは片手で足りるほどの日にち。
一緒にご飯食べたのなんてもっと少ない。

起きたらいなくて、寝る時も当然いなくて。
淋しくて、三蔵の顔が見たくて、声が聞きたくて執務室を覗いてもろくにそこにはいなくて。

それでも何とか三蔵を見つければ、物凄く不機嫌で、声を掛けるのも悪いほど書類に埋まってるか、人に囲まれてる。



それじゃあ、俺、三蔵の側に寄れないよ…。



そんな三蔵が昨日、寝る前に戻ってきて、明日から休みだからと教えてくれた。
嬉しくて三蔵に飛びつけば、ふんわり抱きしめてくれた。

で、休みに入って三日の今日、三蔵と出かけることになった。

昨日、そう八戒や悟浄に言ったら、

「三蔵様とデートか?」
「デートですね」

って言われた。

「デートって?」

意味がよくわかんなくて聞き返せば、

「デートっていうのはですね、好意、つまり好き合ってる者同士が二人で出掛けることを言うんですよ」
「そうなんだ…」
「はい。だから楽しんで来て下さいね」

って、ハートマークが見える笑顔で教えてくれた。
帰って三蔵にそう言ったら、眉間の皺が増えた気がしたのは気のせいかな。




気持ちよさそうに眠ってる三蔵を起こさないように起き上がって、窓を開け広げた。
朝のまだ冷たい風が気持ち良い。
天気も上々で、良い日になりそう。




と、俺の腰に手が回った。
振り返れば、三蔵が目を覚まして俺を見てた。

「おはよ」

笑えば、三蔵も小さく笑ってくれた。

今日は三蔵と出かける日。

close