俺、たくさん食べてるし、牛乳だって毎日たくさん飲んでる。
運動だって裏山に行ったり、草原で走ったり、街で友達と遊んで運動もいっぱいしてるのに。

何で背が伸びないんだろ？

三蔵は法衣を着てたり、洋服を着てると細くて華奢に見えるけど、脱ぐととても筋肉質。
無駄な筋肉が着いてなくって、とても綺麗な身体をしてる。
だから、俺を簡単に担ぎ上げたり、抱えたりできる。

笙玄だって体術が不得意とか言ってもちゃんと着くところには筋肉が着いていて、締まった体をしてる。

でも、俺はちっちゃくて、細くて筋肉なんか着いてない。

岩牢に居た時は時間が止まっていたようで、ツメも髪も伸びなかったし、腹も減らなかった。
三蔵に外へ出して貰ってからは、ちゃんと時間が流れてて、髪の毛も伸びるし、爪だって伸びる。
腹だって減る。

なのに、成長してないってどうなのさ。

三蔵は初めて逢った時より背が伸びて、本当に羨ましい。

「なあ、なんで三蔵の背は伸びて、俺の背は伸びないんだろ」

って、訊いたら、

「知るか」

って。
ちゃんと答えてくれなかった。
むくれていたら笙玄が、

「悟空の成長期は、もう少し先なんですよ。人それぞれですから気にしないでいいですよ」

そう言ってくれた。

あれから何年か経つけど、俺の身長はあんまり変わらない。

昨日の晩、三蔵にそう言ったら、

「そのままでいいんだよ」

って笑って────

三蔵の腕の中に収まってるのは気持ちいいけど、いざという時、三蔵が守れないのは嫌だし、足手まといになるのも嫌だから、俺、諦めない。

きっと、三蔵と並んでやるんだ。