人間くさいカーナビ（３） （2004.7.6／parallel）
『…な、なあ、今どこ走ってんだよ？』
「何だ？道に決まってるだろうが」
『だって、そこ田圃のなかだぞ。今、止まってるところはため池の上だって』
「何言ってやがる、ここはちゃんとした道だ。それも真っ新の……」
『へっ？』
「……あ…」
『な、何？』
「悪い。新しい情報インプットしてねえ」
『ええ〜〜！』
「帰ったら最新の道路情報いれてやるよ」
『何だよそれぇ…』
「むくれてんのか？」
『焦ったんだからな。間違えちゃったかと思って…』
「泣くなよ」
『何で泣くんだよ。メンテナンスしてくれない三蔵が悪いのに』
「何だと？」
『俺に頼んなくても三蔵は何処でも行けるんだからそれでいいじゃん』
「おい？」
『どうせ俺は古いよ。役立たずだよ』

（画面が乱れ始める）

「だから最新の情報に…」
『三蔵のバカ！』

（突然、切れる画面）
（呆然とする三蔵）

「……悪かった…」
『………』
「ちゃんと…構ってやるから、機嫌直せ」
『………』
「…あぁぁ、もう、お前が使えないと俺は困るんだよ」

（電源が入る）

『………ほんと？』
「ああ、本当だ」
『嘘…言ってない？』
「俺が嘘付くかよ」
『…信じていい？』
「当たり前だ」
『じゃあ、ちゃんと構ってくれる？』
「大事にしてやるよ」
『うん、約束な』
「ああ、約束だ」
『うん』
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