ねえ、俺のこと好き? (2004.10.21/寺院時代)
「ねえ、俺のこと好き?」

くすくすと悟空が笑う。

「ねえ、三蔵、俺のこと好き?」

小首を傾げて、いたずら好きの子猫みたいな顔をして。

「俺のことアイシテル?」

ひらりと目の前で回って、また、小首を傾げて笑う。

「ねえ、三蔵?」

捕らえ所のない光のように、ゆらゆらと揺れて。

「さぁんぞ」

吐息がかかるほど近づいたかと思うと、ついっと離れて振り返る。
気まぐれな動物。

「ねえ、俺のこと好き?」

細い指先が頬に触れて、甘やかな唇が名前を紡ぐ。

「さんぞ」

伸ばした腕をすり抜けて、艶やかに笑って。

「ねえ、アイシテル?」

ふわりとまとわりつく日向。
黄金の宝石。

「さぁんぞ」

舞い降りた瞬間、細腕を捉えて、引き寄せる。
軽い体は腕に落ちて、濡れた唇が誘う。

目も眩むほどの色香に食らいつく。

「…悟空」

零れる蜜に酔いしれて、金色は黄金を貪る。




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