It's mine (2005.5.5/parallel・from Gaze)
「大丈夫ですか?」

ソファにもたれて気怠げに顔を上げた悟浄は、自分を覗き込んでいる八戒の顔を見上げて薄く笑った。

「本当に無茶ばかりして…」

さらりと流れ落ちる紅い髪を掻き上げるようにして、八戒は悟浄の顔を更に覗き込んだ。
その手をやんわりと外させ、悟浄は呆れたため息を吐く。

「キレて、あいつら皆殺しにしたお前に言われたくないねぇ」
「それはあいつらがあなたの顔に傷を付けたからですよ」

左の目を覆う白い包帯にそっと触れて、八戒が困ったように笑う。

「…俺の組織が悪名高いのはお前の所為かもな」
「どうしてです?」

自分の傷に触れる八戒の手を辿り、悟浄はすべらかな八戒の頬に触れた。

「だって、普段から腹の中真っ黒なお前がキレると、もっと容赦なくなって手が付けらんねえもん」

くすくすと笑いながら悟浄は形の良い八戒の唇を指先で辿る。
その指先も白い包帯が巻かれていた。

「それは…」

八戒は自分の唇を辿る悟浄の手を掴み、空いた方の手で悟浄の顎を取った。

「それは?」

紅い瞳が楽しそうに輝き、見返す翡翠が柔らかく細められる。

「あなたが僕のモノだからですよ、悟浄」
「なら、お前は俺のモノか?」
「ええ、きっと…」

吐息が混ざり合う距離での八戒の答えに悟浄は、

「なら、好きにするさ…」

笑い、しっとりとお互いの吐息が重なった。




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