三蔵? (2005.7.18/寺院時代)
珍しく三蔵が散歩に誘ってくれた。
嬉しくて俺ははしゃいで、三蔵を見晴らしの良いお気に入りの場所へ連れて行った。
林を抜けると、目の前に長安の家並みが見えるそこに。

「三蔵、こっち」

手を引っ張って三蔵を林の切れ目に誘う。
あと少しで林が終わるその時、掴んでいた手を逆に握りかえされ、あっという間に近くの木に押し付けられた。

「さ、さんぞ?!」

訳が分からなくて三蔵を見上げたら、三蔵の手が俺の視界を塞いだ。
それと同時に柔らかな感触が唇を覆う。

「…んっ…ぁ」

あっという間に舌を絡め取られ、口腔内を三蔵の舌が犯す。
いつもと違う荒々しい接吻けに俺は三蔵の法衣に縋りついた。
膝の力が抜け落ちた頃、三蔵は接吻けを解いた。

「…ぁっ…さん…ぞぉ?」

三蔵はまだ俺の目を手で覆ったまま、何も言わず俺を裏返すと、着ていた服を性急にはだけ、背中に触れた。

「ゃ…ぁん…さんぞ…な、何?な…ぁ…」

俺の熱を煽るみたいに背中に触れる三蔵。
でも、俺の腕と首は三蔵の顔が見えない、振り向けない角度で固定されて。
木の幹に触れる肌がちくちくした。

「ぁやぁあ…ふぁ…」

ゾクゾクと見知った感覚が背中を這い上がり、身体に灯がつく。
三蔵がくれる熱の熱さ以外の温もりが背中に零れた気がした。

「あ…ぅん…さ…ぞ…」

びくびくと快感に震える俺の身体を通して、俺は三蔵が泣いている気がした。




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