孤独なイキモノ (2005.10.12/外伝) |
音もなく雨が降る。 世界は静かだ。 それは、僅かに張り出した岩棚の下に膝を抱えて蹲っていた。 重くたれ込めた雨雲。 まるでそれの存在から隠れるように。 無音に僅かに眉根を寄せ、見上げていた瞳をそれは伏せた。 それは抱えた膝に顔を埋めて、ふと、通り過ぎた冷たさに身体を震わせた。 誰も触れてはくれない己を思って。 雨雲の隙間から射す一筋の陽の光のように、いつかそれをあるがまま受け止めてくれる誰かと出逢う。 それは願い。
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