悟浄と笙玄 (2002.9.16/寺院時代)
「笙玄ってさあ、何がよくってあーんな生臭坊主の側仕えなんてしてんだ?」

「そりゃあ、三蔵様のことを尊敬しておりますし、三蔵様が好きだからに決まってるじゃないですか」

「あ、あいつを好きぃ?」

「何です?人を変人みたいに…」

「あ、わりぃ」

「悟浄さんだって、なんのかんの言いながら三蔵様にちょっかい掛けていらっしゃるじゃないですか。私はてっきり、三蔵様がお好きだからと思っていたのですが、違うのですか?」

「……って…」

「悟浄さん?」

「お、俺があいつを構うのは、反応が面白れぇからだって」

「好きな子ほどいぢめたくなる?」

「何でそーなる?」

「いえ、以前八戒さんがそんなことを悟空に仰っていらっしゃいましたから、私もそうだと…違ったんですね」

「ったりめーだ。あんな人の顔を見りゃ銃ぶっ放す奴、俺は嫌いだね」

「そうか」

「そーだよ。お前もよーく覚えて…笙玄?」

「俺も、そのへらへらしたバカ面は、嫌ぇだ、河童」

「さ、三蔵…」

「三蔵様…」

「…死ね!」




執務室の壁にまた、新しい傷が増えたとか、増えなかったとか。

ある日のある時間。




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