八戒と笙玄 (2002.9.19/寺院時代)
「ちょっといいですか?」

「何でしょう?」

「悟空はどこにいるか知りませんか?」

「悟空ですか?さっきまで三蔵様のお側で本を読んでいたと思いますが、居ませんでした?」

「ええ、三蔵も居なかったですよ」

「そう……逃げましたね」

「逃げた?三蔵が?」

「はい、たぶん。いえ、絶対です」

「駆け落ちですか?」

「いいえ、さぼりです」

「…はあ」

「きっと、悟空にまた良からぬ事をなさっておいでです」

「良からぬこと?」

「あ、い、いえ、何でもありません」

「三蔵が可愛い悟空に何をするんですか?」

「な、な…何もなさいません。聞き違い…」

「笙玄さん、きりきり訊かせて頂きます」

「は、八戒さん…?」

「可愛くて純粋な天使のような悟空に三蔵は、何をするんでしょうか?ひょっとして、あんなことやこんなことをしちゃうんですか?」

「少し、少し落ち着かれた方が…」

「笙玄さん、さっさと白状して下さいね」




この時、初めて笑顔で人が殺せることを知った笙玄だった。

笑顔魔神、八戒との遭遇。




close