大地の友達 (2002.10.26/寺院時代) |
帰り道、悟空は大地の友達を見つけた。 片方の翼を広げたまま、じっと悟空をその瞳で見つめていた。 「ケガ、したのか?」 悟空が近づくと、その子は動かない翼をはためかせて悟空から離れようとする。 「何も…」 差し出した手が、止まった。
「誰かに酷いことされたの?」 じっと、丸い円らをその澄んだ金晴眼で見返す。 「恐かったね」 悟空ははんなりと頬笑むと、もう一度手を差し出した。
では、目の前で傷付いた自分に手を差し出しているのは・・・・・。
怒り。 哀しみ。 安堵─────
「大丈夫。俺が、きっと治してあげる」 悟空はそっと、その子を抱き上げると、安心させるように笑った。 「大丈夫……」 悟空は呪文のように何度も呟きながら、その子の身体を何度も撫でてやった。 「一緒にいてあげるから」 ぽつりと、声が聞こえた。
秋の日暮れの、小さな出会い。
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