おかえり… (2008.6.25/寺院時代・illusted by みつまめ様) |
![]() 俺は慌てて寝所から飛び出した。 だって、三蔵の気配が物凄く弱く感じたから。 三蔵の弱い気配を追って回廊を走って、辿り着いたのは奥の院の外れだった。 と、三蔵が振り返った。 「?!」 びっくりしていたら、手招きされた。 「………さんぞ…?」 小首を傾げながら近づけば、 「……どうした?」 って、訊かれた。 「…ぇ……?」 頷けばくしゃりと、頭を掻き混ぜられた。 「悟空…?」 俺の行動に三蔵が驚いた顔をするのを構わず、ぎゅっとその手を抱きしめた。 「ご、くう…?」 俺の行動が理解できないと、紫暗の瞳が言うから、 「俺は大丈夫だから…俺は何処にも行かねえから、大丈夫だかんな」 叫ぶように言えば、三蔵は紫暗を見開いた。 「信用しろよ……な…」 疑っているように思えて、さらに言い募った言葉は三蔵の胸に消えた。
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