夏風邪 (2009.8.25/寺院時代) |
「えっくし…!」 くしゃみが聞こえたら次は、おうおう鼻水かんでるよ。 が、悟空はいたって健康優良児だ。 それはもう病気も裸足で逃げ出すってぇぐらい、健康だ。 「気持ち悪い…」 ずびずびと鼻を鳴らして、鼻声でソファに寝そべってる姿は何とも言えない。 「熱はないんですね?」 頷く仕草が面倒臭そうだ。 「…ごめん。俺…も、寝る…」 のそりと立ち上がった悟空が、差し出した八戒の手を避けるように立ち、寝室に姿を消した。 「…悟空…」 人なつっこい悟空の珍しい様子に八戒が戸惑ったまま立ち竦むのへ、 「怠いんだろ。んで、何もかも面倒なんだよ」 言えば、八戒が驚いた顔をして、俺を振り返った。 「悟浄…?!」 言えば、 「そんなことわかってます」 って、怒った声音が返った。 「それ、しまって、メモ置いて、邪魔モンは帰りましょ」 そう言って、肩を叩けば、 「邪魔、ですか…───そうですね」 ようやくいつもの笑顔が戻った。 「ああ…たまにはいいんじゃね?」 頷けば、ため息一つ、後で三蔵達が食べられるように準備を始めた。
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