笙玄に言われて包帯の端を持つ。
「そのまま部屋の端へ行って下さい。あ、ねじれないように気を付けて下さいね」
にっこり笑っているその笑顔が怖い。 怒ってる。 うん、絶対に怒ってる。
包帯をめちゃくちゃにしたし、三蔵の書類もくちゃくちゃにした。 でもさ、包帯は俺だけど、書類は三蔵が悪い…と、思う。 けど…驚かせたのは俺だから、俺の所為?
「悟空、よそ見をしないで下さい」
声が冷たい。 謝る機会を見つけられなかったから、なおのこと怖い。 三蔵は見てるだけだし。
それに、笙玄の誕生日だったこともすっかり忘れて浮かれていたことも、今朝になって気が付いた 何も笙玄は言わないけど、三蔵も何も言わないけど…。 いつ、ごめんなさいって言えるんだろ。
「悟空、そのまましっかり持っていて下さいね」
声が優しくて冷たい。 ごめんなさい。