急に冷え込んできた。
山の紅葉が色付いて行く。
昨日は緑だった楓が、今日は上の方が黄色く変わっていた。
綺麗な紅葉になるまでまだ、時間が掛かるから、モミジ見物はもうちょっと先。でも、ミズキの葉は、早くから赤くなって、赤い実も綺麗に光っていたけど、今日はその赤がもっと濃い気がする。
樫の木の葉は、もう茶色くなって落ちてるのもあるし、モチの木の葉は、緑だけどもう落ちて、枝にはたくさん橙色の実が生ってる。
石榴は上の方のお日様の一杯浴びてるのは、はぜて食べ頃で、柿はまだもう少ししないと美味しくならない。
アケビは食べ頃だから、摘んで帰って、みんなで食べる。
三蔵は俺が山で収穫してきたモノはどんなものでもちゃんと、食べてくれる。
でも、あんまり美味しいって、言ってはくれないけど、食べる様子を見てたら気に入ってるのはわかるんだ。
笙玄はちゃんと褒めてくれて、美味しいって笑って食べてくれる。
そんな二人のために、一生懸命美味しい秋の恵を探すんだ。
今日は、アケビとたくさんキノコが採れた。
アケビは洗って食べて、キノコは笙玄が何に料理してくれるかな?
嬉しくって、上着を広げたその中にアケビとキノコを包んで、俺は帰った。
明日は栗拾いに、三蔵を誘おう。
笙玄も来てくれたら、きっと、もっと楽しくなるから、笙玄も誘うんだ。
お弁当もあったらいいなあ。
強請ってみようか。
みんなで行くなら絶対、その方がいいよな。
うん、そうしよう。
きっと、そうしよう。
そう、言ったら、夕風が笑った。