ささやかな風景 #2

ふわふわの綿を丸めて、ぎゅって固めて、またその上から綿をかぶせて、丸くする。
その上に正方形に切った白い布を被せて、きゅっと白い糸で縛った。

「これでいい?」

笙玄に訊けば、

「上手くできましたね」

って、褒めてくれた。
布で覆った丸い所に顔を描く。
マジックで──ちょっとタレ目で、口がへの字──描く。
赤い色で小さな点を描いて、できあがり。

「出来た!」

笙玄に見せたら

「そっくりです」

と言って、笑った。
そして、

「私のも出来ましたよ」

って見せてくれたのは、何だか俺に似ていた。

「じゃあ、紐を付けて窓に吊しましょう」

そう言って橙色と紫の紐で俺と笙玄が作った人形を飾って、窓に吊した。

「明日は晴れるといいな」

雨に煙る窓の外を見たら、軒下にぶら下げた人形が頷いた気がした。

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