ささやかな風景 #24 |
「こら、こんなところで寝るな、サル」 「─……ん、ぁ…うん」 梅雨の中休み。 三蔵の仕事も梅雨と同じように中休みなのか、今日は早くに片づいたらしく、寝所に戻ってきた三蔵は居間の入口でうたた寝をする悟空を見つけた。 「邪魔だ、どけ」 三蔵の言葉に妙な声で応えて、悟空は身体を丸めてしまう。 「うわっ!」 同時に上がった声と物音。 「──ってぇ…」 今の衝撃で目が覚めた悟空が痛そうに身体をさすりながら身体を起こし、床と抱きあう形で転んだ笙玄も痛む身体を起こして床に座り込んだ。 「あ、ご、悟空!だ、大丈夫ですか?」 と、自分が何に蹴躓いたのか知った笙玄が慌てて悟空を覗き込む。 「…えっ?!…ぁ…ああ!!」 笙玄の言葉に悟空は何がどうなったのかようやく理解し、大声を上げた。 「ってぇ!」 殴られた頭を押さえて振り返れば、三蔵がハリセンを握りしめて立っていた。 「なにすんだよっ!」 怒鳴れば、 「んなとこで寝こけてたてめぇが悪いっ!笙玄に謝れ、サル」 返事と一緒にまた、ハリセンが悟空の頭で乾いた音を立てた。 「わかったか、バカ」 言われて、頷けば盛大なため息が三蔵からこぼれ落ちた。 |
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