ささやかな風景 #4

湿気で溶けそうだ。
今朝はあんなに涼しくて、気持ちよかったのに。
朝露が光って、風がすっごい涼しくて、本当に気持ちよかった

なのに…

何?この暑さ。
俺、何かした?
そう思えるくらい、暑い。

三蔵は夏衣着て、見た目は涼しそうな格好で、本堂に籠もってる。
法要で籠もってるんだけど、本堂は実を言うと涼しいんだ。

床は石で、天井が高くて、薄暗くて、でも、風通しが最高にいい。
本堂の周囲の扉を開け放ってしまえば、本当に風が通り抜けて、涼しいんだ。
俺も、行って涼みたい。
でも、今は仕事中だから、絶対、近寄ったらダメだし…。

風の通らない居間で、茹だっていたら、笙玄が俺を呼んだ。
何事かと身体を起こせば、庭先で水まきしてる。

「悟空、一緒に水まきしましょう。気持ちいいですよぉ」

って。
俺は一も二もなく、外へ飛び出した。
ホースからの水は冷たくて、気持ちよくて、最後には笙玄と水遊びになった。

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