ささやかな風景 #6

酷く喉が渇いて目が覚めた。
そう言えば、昨日、と言うよりは今朝まで八戒や悟浄建と飲んでいたことを思い出した。
通りで頭が痛むわけだ。
窓から差し込む陽差しが目に染みて、目の奥が痛んだ。
痛む身体を動かして、起き上がって周囲を見渡せば、それはもう見事に酔い潰れた野郎が寝ていた。
八戒は底なしだが、相当飲んだのだろう、珍しく床で丸くなって眠っていた。
悟浄は酒瓶を抱えて八戒に寄り添うような格好で寝ていた。
俺は壁にもたれて寝ていたらしく、身体が妙な凝り方であちこち痛かった。
水を飲もうと身体を動かした時、膝に重みを感じた。
見下ろせば、悟空が投げ出した俺の足を枕にして、眠っていた。

「いつの間に…」

呟いて思い出した。
飲んでる最中にトイレに起きだした悟空が、トイレから戻ってきた時、寝台に入らず俺の傍で丸くなったのを。
で、そのまま好きにさせたのだ。

「……動けねぇ」

いや、動いても良いが、そうすれば悟空は起きる。
悟空が起きれば、八戒達も起きる。
ということは、悟空を膝枕しているのを知られるということで。
それは非常にまずい。
三段論法のように考えて俺は思わずため息を吐いた。

「覚えてろよ…」

喉の渇きを癒せない腹立たしさを呑気に眠る悟空の寝顔にぶつけるように呟いた。
その声が聞こえたのか悟空の口が「ごめん」と、動いたのはきっと、気のせい。

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