寝台の下

ささやかな風景　#7

三蔵様が最近、変です。
こう…衣をまくって二の腕を眺めてはため息をこぼされ、力こぶを作るように腕に力を入れられては、何だか脱力されたように項垂れたり。
物思いに沈まれている姿は愁いを帯びてとても絵になるお姿なのですが、どこか酷くお疲れのご様子なんです。
それも、八戒さんと悟浄さんがお見えになって、久しぶりだからと酒盛りをされた翌朝から。
悟空に訊いても、

「お、俺は…知らない」

と、顔を赤らめて、しどろもどろで。
何か隠してるのは分かるのですが、閨でのお二人のことは見ざる、言わざる、聞かざるなので、きっと、酒盛りの後、何かお二人だけの時にあったのだと思うのです。

ほら、また…。

両手を握ったり、開いたりして、ため息。
一体何があったんでしょうか？
気になるけれど、理由を伺いづらい状態でその日は暮れてしまいました。
翌朝、寝室の掃除をしていましたら、寝台の下からバーベルが出てきました。
それも５キロのものが。

これって…
ひょっとして三蔵様が？
だって、先日からのご様子から察するに三蔵様と、確信が持てるのですが…。
でも、あの面倒くさがりの三蔵様が？

床に転がっているバーベルを眺めながら、このバーベルを嫌そうに持ち上げていらっしゃるお姿を想像して、笑いが込み上げてきました。
でも、三蔵様が筋トレをなさろうなどと思われた原因は本当に、なんだったんでしょうね。
どことなく、三蔵様に気を遣って、様子を窺ってる悟空に訊いてみましょうか。