ささやかな風景 #9

ハロウィンって仮装するんだと、八戒が貸してくれた絵本に書いてあった。
仮装して、夜、「トリック・ア・トリート」って言って、家々を廻ると、お菓子がもらえるんだそうだ。
カボチャの提灯、じゃなくて、ジャック・オ・ランタンっていうのを大きな西洋カボチャの中を刳り抜いて作る。
今年は失敗が少なかったから、カボチャ付けの毎日は短いと思う。

で、今年は仮装に挑戦するんだ。
でもなぁ…何の仮装をするかが問題なんだよな。

絵本では狼男や吸血鬼、小人に魔女、魔法使い、お化け、妖精とかフランケンシュタインとかに仮装してるから、仮装は人間で無いものがいいらしい。
でも、俺はもともと人間じゃないし、今更、人間以外のものに仮装するのって…。
どうしようかと、迷ってしまった。

眺めてる絵本には、魔女、狼男、吸血鬼、魔法使い、ゾンビ、妖精、小人、鬼、お化け…色んな西の妖怪達が載っていた。
八戒の話だと、三蔵法師に仮装する人もこっちではいるらしい。

三蔵の格好って憧れるのかな?
みんなしてみたいのかな?

三蔵と同じ格好はしてみたい気もするけど、衣裳を貸してくれるわけないし、もし貸してくれてもでっかいから無理だよな。
お化けならなんとかなるかなあ…とか思ってみたけど、シーツを引きはがして、穴開けたら笙玄にめちゃくちゃ怒られそうだし…。

もう、何の仮装したら良いんだろ…
でもさ、何で仮装するんだろ?

ぶつぶつ言いながらページをめくってたら、凄いのを見つけた。
これなら俺でも出来る。
うん、絶対出来る。

俺は早速、準備するために戸棚に向かった。

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